数値解析ソリューション
変形性DEMを用いた3次元落石解析
岩盤崩壊の解析は、崩壊した岩塊が落下し影響を及ぼす範囲を推定するとともに、衝撃の度合いや対策工の妥当性を評価することを目的として実施されます。3次元個別要素法プログラム3DECを用いることで、落下する岩塊を実物と同様にモデル化し、リアリティの高い解析を行って崩壊の影響評価を行うことができます。
崩落する岩塊をスケッチから作成した事例
この事例では、崩落する岩塊は現地踏査の結果から作成されたスケッチをもとに、10個の多面体ブロックとしてモデル化されています。 斜面の地形は、レーザースキャナ計測から得られた数値標高モデル(DEM)を利用して、Geo-GraphiaによりTinを生成し、Tinで区切られたブロック集合体としてモデル化しています。
崩落シミュレーションの結果では、崩落する岩塊の動きは多面体ブロックでモデル化した様子がよく表れています。崩落経路は、斜面上部の急崖ではどの岩塊もほぼ同様の経路で直線的に落下していますが、落下中は岩塊相互の衝突が頻繁に発生しています。 そして、緩勾配となっている斜面の下部にかけては、微地形の凹凸特性の影響を受けて個々の岩塊が横方向に広がりを呈して運動している様子がわかります。 落石防護工の計画では、得られた崩落軌跡を考慮して範囲を決定することができます。
下の画像をクリックすると崩落シミュレーションの動画がスタートします。
(上映をスムーズにするために解像度を落としていますが、成果品の納入時は、高解像度となります。)
この事例の詳細は、下の文献資料をご覧ください。
参考文献:中川光雄・山田正雄・中谷紀行,近重朋晃:合理的な接触判定法に基づく3次元個別要素法による落石・岩盤崩落シミュレーション,日本地すべり学会誌第,第47巻 第3号,pp147-154, 2010.
崩落する岩塊を簡易な模型から作成した事例
この事例では、柱状節理が卓越する急崖斜面の崩落が懸念される岩塊に対して、写真、およびクライミングや踏査から作成されたスケッチをもとに、工作用粘土を用いて6個の岩塊模型を作成しています。
次に、岩塊模型の形状と寸法を手作業で計測して多面体ブロックとしてモデル化されています。 斜面の地形は、レーザースキャナ計測から得られた点群データを利用して、Geo-Graphiaによりメッシュを生成しモデル化しています。このメッシュをそのまま斜面の個別要素法モデルとしています。
崩落シミュレーションの結果では、崩落する岩塊の動きは多面体ブロックでモデル化した様子がよく表れています。複数の岩塊が斜面途中の柱状節理の頭部に落下して、経路が二手に分離している様子がわかります。運動エネルギーと防護工(ロックシェッド)の最大耐力を比較して、対策工を立案することができます。
下の画像をクリックすると崩落シミュレーションの動画がスタートします。
(上映をスムーズにするために解像度を落としていますが、成果品の納入時は、高解像度となります。)
この事例の詳細は、下の文献資料をご覧ください。
参考文献:中川 光雄,神原 規也:任意多面体ブロックでモデル化した個別要素法による岩盤崩落シミュレーション,
(公社)土木学会第33回岩盤力学に関するシンポジウム講演論文集,pp.135-140, 2008.