数値解析ソリューション
仮想ドレーンモデルによる注入工の効果確認
3次元浸透流解析を用いてトンネルの湧水量を予測する際には、トンネル形状などをメッシュ化せずに解析が可能な仮想ドレーンモデルが有効です。仮想ドレーンモデルは、トンネル外周部に注入工が存在し、この領域で透水性が変化する場合でも適用可能です。トンネル全線を対象とした場合や3次元地質モデルを考慮した場合などでは、注入域の幅や透水性を変化させたケーススタディを、メッシュの変更なしに効率的に行うことができます。
注入工を考慮した仮想ドレーンモデル
仮想ドレーンモデルを用いた解析では、要素内に円筒状のトンネルが存在すると仮定し、トンネル周辺の地下水流れを以下のように表現します。得られた湧水量を要素構成節点に配分し、所定時間後の水頭変化を求めます。
仮想ドレーンモデルと従来法の比較
下図に、従来のメッシュ化モデルを用いた解析結果を示します。非注入区間で圧力水頭の低下が顕著であるのに対し、注入区間では注入域の透水性が小さいために、圧力水頭の低下が抑えられていることがわかります。
次に、仮想ドレーンモデルを用いた解析結果を示します。トンネルをメッシュ化していないにもかかわらず、あたかもトンネルが存在するかのような圧力水頭分布が見られます。また、注入区間では注入の効果である圧力水頭の低下が抑制されていることもわかります。従来法との比較でも、圧力水頭分布は従来法に対し良い近似を示しています。
仮想ドレーンモデルによる解析を活用していただくために、岡山大学 西垣名誉教授によって開発された、飽和・不飽和3次元浸透流解析プログラム「AC-UNSAF3D」に、(株)地層科学研究所 細野らが構築した仮想ドレーンモデル(Virtual Drain Model)理論を搭載した「AC-UNSAF3D-VD(仮想ドレーンソルバー)」を開発し、無償公開しております。