数値解析ソリューション

変形と地下水の連成解析によるトンネル注入工の効果確認

湧水量の低減や地下水環境への影響を軽減するため、薬液注入工が用いられる場合があります。この効果を、変形と地下水の連成解析を用いて予測し、工法選択などの意思決定に貢献します。解析にはFLAC3D*を用います。
*FLAC3DはITASCA社の製品です

注入工の効果確認手順

注入工法の選定にあたっては、対象区間において湧水量の測定が行われ、これに基づき岩盤の透水性が評価されます。事前解析を行い、注入領域の透水性と湧水量の減少量、地下水位の上昇量などを予測し、適切な工法を選択します。注入完了後に湧水量の測定を行い、注入工の効果を確認します。

トンネル解析イメージ図

注入に伴う間隙水圧の変化

注入領域では周辺に比べて透水性が低いため、注入領域の外側で間隙水圧が上昇します。この結果、地下水位も上昇し、トンネル掘削が地下水位に及ぼす影響が軽減されます。

間隙水圧分布図
間隙水圧分布(左:注入前、右:注入後、濃色:高い)

注入に伴う地下水流れの変化

注入による透水性の低下により、トンネル周辺の地下水流速が低下します。これにより、トンネルへの湧水量は抑制されます。

地下水流速ベクトル分布図
地下水流速ベクトル分布(左:注入前、右:注入後)

間隙水圧の変化による変形

注入工によりトンネル周辺の間隙水圧が上昇しますが、これにより岩盤全体に浮力が加わりトンネルは変形します。内空変位に及ぼす影響は微小です。

変形図:注入後の変位増分
変形図:注入後の変位増分

注入に伴う局所安全率の変化

注入によりトンネル周辺の間隙水圧が上昇し、有効応力が低下します。モールクーロン型の破壊基準で岩盤の安全率で評価する場合には、トンネル周辺の安全率は低下します。

局所安全率分布図
局所安全率分布(左:注入前、右:注入後、暖色:低い)
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