数値解析ソリューション

変形性DEMを用いた解析

不連続面が多く存在する岩盤に空洞を掘削する場合には、不連続面に囲まれた岩盤ブロックの変形とともに、不連続面のすべりや開口変位を考慮する必要があります。このような問題に対しては、2次元個別要素法解析ソフトウェアUDECや、3次元個別要素法解析ソフトウェア3DECを用いた解析を提供します。いずれの解析でも、不連続面で囲まれたブロックは変形性を有しています。
解析例紹介:「UDECを用いた掘削解析」、「3DECを用いたキーブロックの解析

UDECを用いた掘削解析

UDECの適用を最も印象づけるのは、Bartonらによる60mスパンの大空洞(アイスホッケーアリーナ)の掘削変形解析です(図1)この解析の特徴は、ボーリング調査、物理探査等の地質調査を建設予定地で実施し、調査結果に基づいて岩盤分類、節理の走向/傾斜、頻度、初期地圧、岩盤物性等の岩盤評価を実施して岩盤のモデル化を行い、解析を行ったことです。これを再現してみましょう。掘削は3段階とし、初期地圧は実測結果を用いています。岩塊ブロックの形状は任意の多角形で、節理の走向/傾斜を考慮して作成されました。掘削された空洞の内空変位は、岩塊ブロックの変形に節理のずれ変位が加わります。天盤部周辺は多くの節理が存在していますので、掘削の進行に伴い沈下が大きくなります、本事例は、このような岩盤の不連続な性質をよく表現しています。

図1 アイスホッケーアリーナ周辺の岩盤のモデル化
図1 アイスホッケーアリーナ周辺の岩盤のモデル化
図1 アイスホッケーアリーナ周辺の岩盤のモデル化
(Barton et al.,1992,Comparison of prediction and performance 62m span sportshall.Torino.)
図2 解析モデルと不連続面の配置
図2 解析モデルと不連続面の配置
図3 不連続面に囲まれたブロックのメッシュ化
図3 不連続面に囲まれたブロックのメッシュ化
図4 掘削に伴う変形ベクトル(1)
図4 掘削に伴う変形ベクトル(1)
図5 掘削に伴う変形ベクトル(2)
図5 掘削に伴う変形ベクトル(2)
図6 掘削に伴う変形ベクトル(3)
図6 掘削に伴う変形ベクトル(3)

3DECを用いたキーブロックの解析

3次元個別要素法解析ソフト3DECを使用して1つのキーブロックの崩落を再現する解析です。地下空洞は、縦41(m)、横26(m)の地下発電所の一部です。天盤部のキーブロックは高さがおよそ10(m)あり、3つの不連続面から構成されています。

3つの不連続面の情報

岩盤は弾性体でモデル化しており、各ブロックで挟まれた領域は変形性を有しています。
初期応力解析によって静的平衡状態が得られた後、発電所空洞を掘削しました。3つの不連続面は、風化していると考えて、すべり摩擦角を5(度)に低下させています。空洞掘削後、天盤部からキーブロックが抜け落ちて落下していく様子が分かります。
このように、3DECを用いることで、不連続面を有する岩盤の変形挙動に加え、形成されたキーブロックの安定性も評価することができます。

図1 地下発電所の掘削部と不連続面の位置
図1 地下発電所の掘削部と不連続面の位置
図2 形成されたキーブロックの形状
図2 形成されたキーブロックの形状
図3 キーブロックの抜け出し変形(1)
図3 キーブロックの抜け出し変形(1)
図4 キーブロックの抜け出し変形(2)
図4 キーブロックの抜け出し変形(2)
図5 キーブロックの抜け出し変形(3)
図5 キーブロックの抜け出し変形(3)
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