数値解析ソリューション

FLAC3Dを用いた3次元解析

トンネルの掘削工事において、変状が予測される区間の工法や補助工法の採用などの検討に際しては、精緻な3次元シミュレーションを活用し意思決定を支援していくことが重要です。以下に、FLAC3D*を用いた3次元シミュレーションの手法を紹介します。

*FLAC3DはITASCA社の製品です

3次元地形地質モデルの作成と自重の場の生成

トンネルが掘削される領域の初期応力は、地形や地殻応力の影響を受けています。これを考慮するため、広域の3次元地形地質モデルを作成し、要素分割したうえで自重解析を行います。地形地質モデルの作成にはGeo-Graphiaを使います。地下水の影響を考慮する場合は、所定の境界条件のもとで地下水流れの解析を行い、初期間隙水圧分布を求めます。

図1 広域モデルと自重解析による安全率分布の一例
図1 広域モデルと自重解析による安全率分布の一例

岩盤の変形挙動のモデル化

岩盤が破壊した後の挙動や地下水の影響、長期にわたる変形挙動などを、適切な数学モデルで表現し、掘削時のシミュレーションを行います。

概 要関連する方程式
非弾性挙動・岩盤を弾塑性体とみなし、強度として降伏条件を定めます。
・降伏後に応力が低下していくひずみ軟化挙動を表現します。
・降伏後に体積の増加が生じる、ダイレタンシー現象を表現します。
数式1(非弾性挙動に関連)
数式2(非弾性挙動に関連)
C:粘着力
φ:摩擦角
α:ダイレタンシー係数
dεe:塑性ひずみ増分
地下水の影響・ダルシー則に従う地下水の流れを考慮します。
・間隙弾性論に従う岩盤挙動を表現します。
・岩盤の降伏条件に間隙水圧の影響を考慮します。
数式3(地下水の影響)
数式4(地下水の影響関連)
p:間隙水圧
k:透水係数
K:体積弾性定数
M:間隙弾性定数
経時劣化・強度が時間とともに低下するとモデル化し、長期にわたる岩盤変形を予測します。
・強度低下のモデルは、文献調査に基づき作成します。
数式5(経時劣化関連)
数式6(経時劣化関連)
λ:強度低下速度定数
R:破壊接近度

トンネル掘削工法の再現

シミュレーションでは、トンネル掘削に採用された工法や補強工などを適切にモデル化し、解析モデル上で、トンネルの掘削を忠実に再現していきます。

図2 上下半掘削のモデル化の例
図2 上下半掘削のモデル化の例
図3 坑口、二期線掘削のモデル化の例
図3 坑口、二期線掘削のモデル化の例
図4 分割掘削のモデル化の例
図4 分割掘削のモデル化の例
図5 切羽補強、先受け工法のモデル化の例
図5 切羽補強、先受け工法のモデル化の例
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