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隕石 -宇宙からの贈り物-(番外編その2)
2020年7月2日の未明に関東上空で火球が目撃されました。大気中で燃え尽きてしまうか、はたまた地上まで到達して隕石として発見されるか。結果は、千葉県習志野市で2個の隕石として発見されました。落下の衝撃で63グラム(45×30×25mm)と70グラム(50×35×20mm)の2片に割れ、合わせると5cmくらいの大きさだそうです。
毎日新聞2020年7月13日 火球の破片、千葉で発見「習志野隕石」、学会へ登録申請へ
発見は、マンションの住民がガーンという大きな音を聞き、朝、玄関前の共用廊下で1個目を見つけました。廊下の手すりにも傷があったため付近を捜し、2個目を発見しました。そして県立中央博物館に届け出たそうです。
隕石は国立科学博物館によって、ガンマ線の測定が行われ、宇宙線による放射性核種が検出されました。そしてその半減期から7月中に落下した隕石と判明しました。検出された宇宙線生成核種は、アルミニウム-26(半減期約70万年)、ナトリウム-22(半減期約2.6年)、マンガン-54(半減期約312日)、マンガン-52(半減期約5.5日)などです。
隕石は国立科学博物により「習志野隕石」と命名されました。習志野隕石は石質隕石(コンドライト)の1種で、今後は、約1ヶ月の鉱物組成や希ガスなどの分析を行い、分類が確定した段階で国際隕石学会に登録を申請する運びとなります。隕石 -宇宙からの贈り物-(中編)の中で直近の隕石として紹介した2018年9月の小牧隕石以来の発見となり、国内発見53番目になります。
習志野市で見つかった隕石は、船橋市にも落ちていました。8月3日に国立科学博物館が、約1km離れた船橋市のアパートの屋根にも破片が落ちていたことを発表しました。7月22日にアパートの屋根瓦が割れていたため修理をした時に、駐車場近くの地面に瓦とともに破片を発見したそうです。隕石は95gと73gの大きな破片とその他5g以下の小さな破片が8個で、合計183gでした。今回の火球に由来する隕石は、広範囲に落下する隕石雨であることから、まだ他にも大きな隕石片が落下している可能性が高いと見られています。
さらに2020年8月21日午後10時半ごろ、関東上空に大きな火球が現れました。神奈川県の南の太平洋上から千葉県の方向に向けて飛んだとみられ、隕石(いんせき)が房総半島に落下した可能性があると言われています。神奈川県平塚市博物館の学芸員や精密機器メーカー・アトムテックの社長が、自宅に設置したカメラで上空を流れる光を捉えています。まだ隕石の発見には至っていませんが、このところ夏の夜空が火球で賑わっています。
隕石 -宇宙からの贈り物- は、前中後編、番外編にさらに続編となりました。
今日も地球のどこかでの空で火球が見られ、地上では隕石が発見されていることでしょう。