技術資料
地質モデリング
07.中津層、鷹取山層、上総層群をモデル化する
前回は、古い地層に区分される「小仏層群(相模湖層群)」、「丹沢層群」、「愛川層群」をモデル化しました。今回は、その上の層準にあたる「中津層」「鷹取山層」「上総層群」を作成します。
(1)推定線を引く
おさらいになりますが、推定線とは、Geo-Graphiaで地質を推定させるための地層境界のことです。この推定線に対して、後述するプライオリティ(優先度)を設定します。
地質縦断図に描かれている線をたどって、中津層と上総層群をポリラインでトレースします。北部の東西断面では標高-50mの下限範囲でも西側に中津層、東側に上総層群が描かれています。エリアの中央付近の南北断面では、上総層群が北から南へ分布域が深く描かれています。
今回は、その中津層と上総層群の上面を下図のように紫色線で描きました。中津層と上総層群の関係については、不明な点が多いのですが、中津層は上総層群の下部に相当すると考えられています。
今回作成するうえでは、両層がほぼ同時代の地層と仮定し、このエリアの西部を中津層、東部を上総層群に区分けしました(下図の赤色線で区分)。
鷹取山層は、本エリアの南西部の大磯丘陵の鷹取山を構成しています。鷹取山を中心とした分布範囲を下図のように緑の点で描きました(下図・非分布範囲のCADオブジェクト)。
Geo-Graphia上で分布範囲と非分布範囲をレイヤーで分けてCADオブジェクトを配置させます。具体的には、分布範囲には下限標高(このモデルは標高-200m)に点群を配置させ、非分布範囲には領域外(この場合、地表面よりも上)に線と点を配置させることにより、分布範囲のみの表現が可能になります(図参照)。
(2)境界面を設定する
境界線として引いた線に対して、境界面を設定します。この設定により「プライオリティ(優先度)」の設定と「制約」機能を用いて「切る」「切られ」関係を表現することができます。
中津層と上総層群は、それぞれの層の上面をポリラインで作成したので、ポリラインに対して境界面を設定します。
鷹取山層は、点群で作成しましたが、点群もポリライン同様に境界面設定が可能です。
(3)推定する
この3層の推定結果は、次のようになりました。
今回推定した3層と前回の相模湖層群から上総層群までの推定結果を表示すると、下段図のようなモデルになりました。
残りは、第四紀の地層のモデリングです。どのような地層があり、どのような重なりがあるのかに注目したいと思います。