技術資料

Feel&Think

第10回 帯水層の膨張量を求める

担当:里 優
2020.12

今回は、次に示すような帯水層への注水を模したモデルを用います。青色以外の色の付いた8個の盛土領域内の幾つかに膨張の体積ひずみを発生させ、モデルに変形を生じさせます。二酸化炭素の地中貯留をイメージしています。地表面に配置した観測点におけるこのときの変位から、逆解析により体積ひずみ発生した場所とその大きさを推定してみます。

最初の例は、中央の4つの領域に1%の膨張ひずみが発生した場合です。この解析により得られた地表面の鉛直変位を観測値とします。観測点は図中に球で示します。

変位分布図(中央の4つの領域に1%の膨張ひずみが発生した場合)
変位分布図(中央の4つの領域に1%の膨張ひずみが発生した場合)

以下が逆解析の結果です。中央の4つの領域で膨張ひずみが発生していることや、その大きさが1%程度であることが推定されています。

変位分布図(逆解析結果)
変位分布図(逆解析結果)
体積ひずみ分布図(逆解析結果)
体積ひずみ分布図(逆解析結果)

今度は、中央の2つの領域に1%の膨張ひずみが発生した場合です。

中央の2つの領域に膨張ひずみが発生したモデル
変位分布図(中央の2つの領域に膨張ひずみが発生したモデル)

以下が逆解析の結果です。この例でも中央の2つの領域で膨張ひずみが発生していることや、その大きさが1%程度であることがうまく推定されています。

変位分布図(逆解析結果)
変位分布図(逆解析結果)
体積ひずみ分布図(逆解析結果)
体積ひずみ分布図(逆解析結果)

このように、カルマンフィルタを用いた有限要素法による逆解析では、地盤中に生じた体積ひずみの大きさと場所を推定することができます。今回の例は、山体の変形から地下のマグマだまりの大きさを推定する場合などに応用できそうです。

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