技術資料
Feel&Think
第4回 凍結膨張を解析
自重解析に続いて、凍結膨張の解析を行います。ここでは、解析モデル底面の温度を変化させて、凍結膨張を生じさせました(図-1)。具体的には、初期に20℃であった底面温度を1,000時間で‐30℃まで下げ、続く1,000時間で20℃まで戻しました。
図-2が単一要素モデルでの凍結膨張による最大変位です。x、y、z各方向の変位は0.0167m生じており、体積膨張ひずみは0.05m3ですが、空隙率が0.5、水の凍結膨張率を0.1としているので正しい値であることがわかります。
要素の凍結膨張の様子を、もう少し詳しく見ていきましょう。
図-3は要素の温度変化です。底面の温度変化より少し遅れて温度が変化しています。温度変化の速さは、0℃から5℃の間で緩やかになっていますが、これは熱量の変化が潜熱に費やされているためです。
図-4に示す要素上面の変位は、凍結開始温度0℃から凍結終了温度‐5℃まで直線的に発生し、温度の上昇とともに0に戻っていきます。図-5の凍結膨張ひずみも同様です。
図-6には、潜熱のために消費された熱量の変化を示しました。ここで用いているモデルでは、潜熱のために消費された熱量に比例して凍結膨張が発生するとしています。
図-7は、凍結から融解の間に要素を流入出した水の量を示しています。凍結や融解の過程で、水の出入りはほとんどありません。これは、凍結膨張ひずみがそのまま要素の変位として発現しているためです。このため、間隙水圧の変化はなく、水の出入りも生じません。
図-8から図-13には、今度は要素分割をして現実的な変位分布を調べてみた結果を示します。凍結膨張は底面から始まり、全体が凍結した状態では単一要素モデルの場合と同様に均一な膨張変形となります。その後、底面から融解が始まり初期状態に戻ります。
次回は、いよいよ高志の式の表現に挑戦します。