やわらかサイエンス

隕石 ~ 宇宙からの贈り物 ~(前編)

第113回担当:藤原 靖(2020.06)

NHKのテレビ番組で「地球に好奇心 宇宙からの宝を探せ!~世界をかける隕石(いんせき)ハンター~」(初回放送2003年)を興味深く視聴しました。
宇宙からの贈り物というべき隕石は、その美しさやロマンからコレクターズアイテムとなっています。番組では隕石を求めて世界を駆け巡る隕石ハンターについて紹介していました。そこで、今回のやわらかサイエンスでは、隕石について見て行きたいと思います。


隕石は地球にたどり着いた太陽系の情報

隕石は、恒星間の宇宙空間に存在する固体の物質が、地球などの惑星の表面に落下してきた際、大気を通過中に高熱で気化せずに固体として残ったものです。隕石の多くは45億年ほど前にできたもので、太陽系の初期、惑星が形成された当時の始原的な物質であろうと考えられています。

隕石の大きさはさまざまで、地表に到達するまでに小片になることもあれば、大きな塊のまま到達することもあります。発見されたものでは、ナミビアのホバ隕石が最大で、重さ60トンもあるそうです。
人類にとって唯一、地球の外から得られた岩石の標本です。隕石は、地球以外の星の情報をたくさん教えてくれます。太陽系の誕生に関する情報源として、隕石は私たちが太陽系を理解するために必要なものです。


隕石の種類は3つ

隕石は多種多様ですが、最も多い種類はコンドライト(粒状隕石)と言われる隕石です。コンドライトは、1ミリ前後の大きさのコンドリュールというものが多数集まったものです。コンドリュールは、一度融けた岩石や金属の液滴が、急速に冷えて固化してできたものです。
多種多様な隕石は、隕石の鉄・ニッケル合金 とケイ酸塩鉱物の比率で、次のように3つの種類に分けられています。


■ケイ酸の多いもの・石質隕石(stone meteorite)
コンドライトは、石質隕石という種類になります。石質隕石は、小天体のマントルと考えられています。球粒状構造の無いものはエイコンドライトと呼ばれ、月隕石、火星隕石などです。

■中間のもの・石鉄隕石(stony-iron meteorite)
鉄・ニッケル合金とケイ酸塩鉱物とがほぼ同量から成る隕石の種類です。小天体の中心核とマントルとの境界領域の部分と考えられています。

■鉄・ニッケル合金の多いもの・鉄隕石(iron meteorite)
鉄・ニッケル合金から成る隕石の種類で、隕鉄とも呼ばれます。含まれるニッケルの比率で、さらに細かく分けられます。コバルトや微量の金、白金、イリジウムなどの貴金属や少量のリンや炭素などの非金属元素も含まれています。小天体の中心核と考えられています。



左:石質隕石(チェリャビンスク(Chelyabinsk)隕石)

・断面をみると岩石と同じような外観です。
・ロシア連邦チェリャビンスク州チェバルクリ湖で発見されたものです。
・種類はカンラン石や輝石からなる普通コンドライトです。


チェリャビンスク隕石補記:
2013年に落下し全世界を驚かせた隕石。およそ1600人が隕石落下による衝撃波で割れた窓ガラスなどで怪我。衝撃波は建物にも被害を与え、被害総額は4億から10億ルーブル。後年、チェバルクリ湖の底から一番大きな破片(およそ570キロ)を引き上げ。


中:石鉄隕石(ブラヒン(Bragim)隕石)

・断面をみると石のような部分をメタリックな部分が埋めている外観です。
・ベルラーシ共和国で発見されたものです。
・種類はカンラン石(色の濃い部分)と鉄(色の薄い部分)から構成されるパラサイトと呼ばれています。


右:鉄隕石(キャニオン・ディアブロ(Canyon Diablo)隕石)

・断面をみるとメタリックな外観です。
・アメリカ合衆国アリゾナ州ディアブロ峡谷で発見されたものです。
・鉄・ニッケルと微量の炭素、リン、ガリウム、ゲルマニウムを含み、鉄隕石の中でもオクタヘドライトと呼ばれています。


隕石 ~ 宇宙からの贈り物 ~の前編はここまでです。隕石と言っても石のようなものと金属の塊のようなものがあるのですね。中編では日本に落下してきた隕石と隕石ハンターについて紹介します。