やわらかサイエンス

大谷石 ~8世紀から続く身近な石材~(後編)

第112回担当:藤原 靖(2020.03)

大谷石はいろいろな表情を見せてくれる石材です。また採掘した後には地下に巨大な空間が広がっています。最盛期を過ぎた大谷石ですが、後編では新しい時代の人とのかかわりについて紹介します。


大谷石の石材としての味わい

大谷石の風合いは、含まれるミソの大きさで決まります。ミソとは火山弾が粘土化した色の濃い部分です。ミソが小さいものを細目と呼び極上品で、レリーフ用として使用されています。大小のミソが含まれるものが中目で、大谷石らしい風合いが特徴的なため人気があります。大谷石は柔らかく加工がしやすいのですが、ミソの大きい荒目は硬く風化しにくいため、強さが求められる敷石、土留め、擁壁などに使われます。



株式会社マルオカのホームページ/大谷石の特長・規格サイズより抜粋
http://www.oyaishi-maruoka.com/service/ooya-stone.html

大谷石は、加工方法によって表情が変わります。切りっぱなしのダイヤ挽きと言われる仕上げが一般的です。他にツツキ加工、ビシャン加工、チェーン加工、格子加工などいろいろあります。用途の応じての個性的なものが選べます。



大谷石材産業株式会社ホームページ/内装品・外装品より抜粋
http://www.ooyaishisangyo.com/interior.html

大谷石の石材としての味わい

現在では、大谷石の生産は激減しているため、従来のような土木・建築資材ばかりでなくインテリア用などの用途が開発されています。また採掘場の跡地は資料館として、あるいは酒やハムなどの食糧貯蔵庫などにも利用されています。



左:料理店の厨房のコンロとカウンター席の大谷石による耐火間仕切
右:大谷石の小物入れ・プランター

国の名勝に指定されている大谷の奇岩群の近くに大谷資料館があります。資料館は地下採掘場の跡地を利用した施設で、広さは2万平方m、深さは平均30m、最深部には地下60mの空間が広がっています。


大谷石はコンクリートやガラスに比べて高い吸音率をもっています。また跡地の地下空間はさまざまな空間形状をしているため、演奏や音楽も種類に合った優れた音響空間を演出することが可能です。


1981年の映画「セーラー服と機関銃」の撮影を皮切りに、映画の撮影はもとより、いろいろな音楽の演奏会、能公演、写真展、プロモーションビデオ撮影などに使われています。




地下採掘場の坑内の平均気温は8℃で巨大な冷蔵庫です。冷蔵機能だけでなく、熟成にも適しているとされ、味噌、漬物、チーズ、ワイン、日本酒の熟成に用いられています。また、大谷石の地下の大空間は、癒し効果が高くリラックスができる良質な空間を創ることができるそうです。


大谷石の話は如何でしたしょうか。少し緑がかった灰色でミソと呼ばれる笑窪のようなアクセントのある石です。住宅街を散歩する時、美術館やホテルなどの重厚な建築物を訪れた時など、大谷石は使われていないかなと思い出して探してみて下さい。案外、簡単に見つかると思います。