斜面防災のための3次元解析
地震による不安定化の評価
FLAC3Dは動的陽解法と呼ばれる手法で解析が行われており、連立方程式を解いたり全体剛性マトリクスを記憶したりする必要がありません。 このため、モデルが大規模となり膨大な節点数となっても、現実的な時間や記憶容量で動的解析が可能です。広域を対象とした地震応答解析に適しています。弾塑性モデルによる動的解析
斜面では、初期応力状態で斜面方向にせん断応力が発生しており、これに地震動が加わると斜面方向に塑性変形が卓越すると考えられます。 このような場合には、動的変形特性として弾塑性モデルを使うことが有効です。 例えば、次図に示すような、動的変形試験から得られる地山の動的変形特性(G/Go-γ)とせん断強度(c,φ)に基づく弾塑性モデルを組合せた図-3 に示す力学モデルを用いることが考えられます。 FLAC3Dでは、塑性流動が発生・拡大しても安定して解析することができ、地震による斜面の不安定化を表現できます。
広域斜面の危険度予測
FLAC3Dを用いた解析例を示します。1km四方の山体に地震動を入力したものです。崩積土層、風化岩層、基盤層を考慮し、総節点数は40万程度です。自重解析に続き動的解析を行っています。 得られた最大加速度分布からは、地表付近の加速度が入力地震動の3~5倍程度増幅されていることや、地形の影響を受け増幅度が高い場所があることがわかります。
参考文献:中川光雄・山田正雄・小山 幸司:山間地広域斜面の危険度予測のための有限差分法による地震応答解析,第42回地盤工学研究発表会講演集,pp1769-1770, 2007.