
第11回 冨永英治(2022/07)
11.新規段丘堆積層(武蔵野ローム層と立川ローム層)をモデル化する
今回は、最終間氷期以降に堆積した地層をモデル化します。具体的には、武蔵野段丘面を形成している武蔵野ローム層および同時代の礫層、立川段丘面を形成している立川ローム層と同時代の礫層です。武蔵野ロームが約7万年~4万年前、立川ローム層が約4万年~1万5千年前とされています。武蔵野ローム層は、箱根火山の噴出物で形成されました。立川ローム層は、富士山の噴出物で形成されました。この武蔵野面と立川面の分布を確認しましょう。
モデル範囲の相模川よりも東エリアにある台地の多くは、武蔵野段丘面で、その地表面が武蔵野面になっています。その一方、立川段丘面はほとんどありません。
相模川よりも西側エリアでは、島状に武蔵野段丘面、立川段丘面が丹沢山系の山すその狭い分布に点在しています。
この新規段丘面堆積物の地質モデルの作成方法は、これまでと同様、次の手順で行います。
- (1)境界線をトレース
- (2)境界面設定を行う
- (3)地層推定
前回の相模層群以上に地層同士の重なり合いが難しくなってきます。この新規段丘堆積層は、私たち生活している直下に分布する身近な地層群といえます。
次回は、いよいよ最後の沖積層となります。お楽しみに。

丘陵・台地の地形面区分図(M1,M2,M3が武蔵野面、Naが立川面を示す。)
(引用図:岡 重文・島津光夫・宇野沢昭・桂島茂・垣見俊弘(1979):
藤沢地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,111p.)

標高カラー段彩図
東エリアの台地(上図の左側黄緑色部分)は、武蔵野台地の面で形成されています


断面図トレース例・境界線をトレースして、境界面の設定した後、地質推定を実施


地層推定の様子

