計測ソリューション

逆解析による物性の同定

Geo-Tomography

3次元トモグラフィ技術は、計測データ処理やモデル作成の煩雑さに加え、計算手法の複雑さから、これまで実務で用いられることは稀でした。 地層科学研究所では、これらの困難を有限要素解析と逆解析を組み合わせることで克服し、これまでの概念を一新する3次元トモグラフィ技術を完成させました。 データ処理やモデル作成、あるいは結果の評価などには、有限要素解析で培った様々なノウハウが込められています。

3次元比抵抗トモグラフィでの例

3次元比抵抗トモグラフィでは、電場の順解析を有限要素法で、比抵抗分布の逆解析を差分メッシュ上で行う方法を用いています。 差分メッシュとは、ある小領域の比抵抗値を代表させる格子点からなるメッシュで、有限要素の比抵抗値はこの格子点の値を内挿して求めます。 この方法は、次のような特徴を持っています。
  • 解析領域の3次元形状を現実的にモデル化できるため、電極配置が制限を受けない。
  • 差分メッシュにより未知数を少なくできる。
流れ図

3次元トモグラフィの解析手法

解析の手順は次のとおりです。
  • [step1]3次元有限要素モデルを作成し、モデル中に電極などの座標、およびその間で測定した電圧や電位差を入力します。初期の比抵抗は一様と設定します。
  • [step2]加えた電圧や電流により地中に生ずる電位分布Φを、有限要素法により求めた後、観測点における電位(差)を計算します。
  • [step3]計算で求めた電位(差)と観測電位(差)との残差が、予め設定しておいた値よりも大きければ、収束していないと判断し、次式をCG法により解いて新たな比抵抗分布を差分メッシュ上で求め、これに基づいて有限要素モデルの比抵抗分布を内挿手法により更新します。
  • 数式
  • [step4] 以上step2~step3の手順を繰り返し、収束すれば終了となります。
解析例結果図など

解析例

地層科学研究所がこれまで蓄積してきた、有限要素モデルの作成や結果分析のための技術を用いたソフトウェアを用いるため、 解析を行うにあたっては、計測データや解析結果を視覚的に確認しながら作業を進めることができます。 これにより、不良データの排除や解析モデルの改良が迅速に可能となり、結果として解析精度を向上させることができます。
地下の空洞などを、地表面の比抵抗探査から推定する場合の解析例を上記に示します。 3次元有限要素モデルと差分メッシュを作成し、計測した電極配置と測定電位より、地下の比抵抗分布を推測することが可能です。